みなさんの家にアレありますか? カニを食べるときに使うやつです。小さいころアレって何をする道具か分からないことありませんでしたか? カニってそんなに頻繁に食べられるものでもないですし…。
ぼくは、カニほじり器とか勝手に名前を付けていますが、ちゃんとした名前があります。アレの名前は「カニフォーク」と言います。皆さん知っていましたか?
今回の絵本は、そのカニフォークが「自分が一体何をするための道具なのか」を知るために旅に出るお話です。ん~。この時点で面白そうな雰囲気たっぷりですね。
台所で
「お母さんコレ何?」
と子どもが聞いてきたときに読んであげると、間違いなく楽しく読めます。カニフォークについて子どもの探究心をくすぐる絵本です。
本の内容
カニフォークが一体自分は何なのかを探す旅に出た絵本です。
カニフォークの特徴と言えば、スプーンのような部分とフォークと言っていいのか分からないとがった部分ですよね。その2つにスポットを当て、色んな道具や食べ物に出会います。
カニを食べるときに使うと知らなければ、どんな道具として使うことができるか想像しているところが面白いポイントです。
まずは、耳かきに出会います。尖っている方が耳かきっぽいですよね。
耳かきは、
「みみかきにきまっとるがな」
「ぼくをみてみぃ。いっしょやがな」
と言います。それに対してカニフォークは、
「こんなんでみみかきしたら けがしてまうで」
と言って別れます。
確かに!! 耳かきに対するカニフォークの返しが、的確すぎて面白いですね。
こんな漢字で、くぎぬき、あみぼうにも出会います。
食べ物にも出会い、食べられるかチャレンジ!! ラーメン、すしは上手く食べられず、お餅に至っては抜けなくなってしまう始末。カレーはいけるかと思いきや、カニフォークの小さすぎるスプーン部分では食べられず、落ち込むカニフォーク。
ついには、生き物にも出会います。カブトムシに出会えば、
「きみはカブトムシに決まってる。つのあるやん」
と言われ、
それを見ていたハサミムシには、
「ちゃうちゃう、わしと同じハサミムシや」
と言われます。
フォークの部分がどちらにも似ていて、なるほどと感心させられました。
最後に、おばあさんのもとから逃げ出してきたカニと出会い自分の正体を知るというお話です。
オススメの読み方
オススメの読み方は、まず読む前に実物のカニフォークを見せてあげてください。使ったことがなければチャンス!! 何に使うか、いろいろ想像させてあげましょう。知らないふりをして一緒に考えてあげるといいですね。
いっぱいアイデアを出した後で読んでいくと、きっと出てきたアイデアが登場しているはずです。
「あっ、○○ちゃんと同じ考えやな~」
「もしかしたら、さっきの考えあってるんちゃう?」
なんて会話を楽しみながら読んであげるといいですよ。
他の作品紹介
作者の岡田よしたかさんは、11年間保育所に勤務されていたそうです。保育所に勤務されていただけあって、小さい子どもがどんなことに興味をもって、どういう思考をするかをよく研究されているなと思いました。
他の作品も子どもが興味を持つことを中心に描かれていらっしゃる作品が多いです。
うどんやのうーやん
人手が足りないうどん屋さんで、「うどんのうーやん」が自ら出前にでかける話です。
途中に出会った、からからのメザシやふにゃふにゃの豆腐を自分のどんぶりに乗せて、出前先までひたすら目指します。うどんが走る、シュールな絵本です。
こんぶのぶーさん
今度は昆布巻きが主人公。昆布巻きが漫才師を目指します。町中に貼った相方募集のはり紙をみて、めざし、あずき、ゆでたまごなどをオーディションします。オーディションの場面では、それぞれの特徴を的確に捉えていて非常に面白い仕上がりになっています。
ちくわのわーさん
ちくわが主人公のお話もあります。ちくわのわーさんは、どこかへ急いでいるようですが、もともとのんびり屋。昼寝をしたり、こいのぼりになってみたり、巻きずしの服を着てみたり…。かなりゆる~い、ツッコミどころ満載の絵本です。
ハブラシくん
持ち主のさとしくんが歯みがきをさぼるので、ハブラシくんは家を飛び出してしまいます。毎日歯みがき粉を乗せていたハブラシくんは、「たまには歯みがき粉以外のもんも、のせてみたいなあ」と思い立ち、まったりした旅が始まります。
最後はハブラシくんが歯みがきの手順を教えてくれますよ。
まとめ
子どもって色んなことに興味を持ちますよね。ぼくは興味を持ったら、すぐに答えを教えないようにしています。大人もそうですが、興味をもっているときって考えたり学んだりする最大のチャンスですよね。そのチャンスを奪わないようにしたいからです。
子どもが興味を持ったとき、それにぴったりの絵本があると子どもも楽しんで考えるし、覚えることもできると思います。
「考える」「学ぶ」って楽しい。子どもをそう思わすことのできる絵本って素晴らしいですね。
最後に、この本を読んだら子どもがカニフォークを使いたくなると思います。そのときは、少し奮発してカニを買ってあげてくださいね。
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