最近ニュースで取りだたされている『豚コレラ菌(とんコレラ)』豚が感染してしまうと、最悪死んでしまう恐ろしい細菌です。
鳥インフルエンザなどもそうですが、こういうニュースが流れると家畜を飼っていらっしゃる方は大変だろうな~と思います。なんてったって今まで大切に育ててきた豚や鳥が出荷できずに死んでしまうのですからね。
死んでしまうことも悲しいですが、それ以上に感染を拡大させないように殺処分しなければならないときは胸が痛むことは容易に想像できます。
そして何より畜産農家さんを困らせるのが風評被害だと思います。ちゃんと対策をしているにも関わらず、噂だけが独り歩きしてしまって安全なものまで敬遠されるようになってしまうと、どうしようもありません。
今回の豚コレラもそうだと思います。ちゃんとした知識をつけて風評被害を出さないことが、ぼくたちにできることではないでしょうか?
それでは豚コレラについて解説していきます。
そもそもコレラって何?
コレラというのは、コレラ菌という細菌が引き起こす細菌性の感染症です。様々な型があってヒトに感染する型は限定されています。このあたりの認識はインフルエンザウイルスと同じように考えていいでしょう。
感染経路は主にコレラ菌に汚染された飲食物の摂取です。水が汚染されていると一気に広まることは想像できますね。飲み水にも使われますし、野菜を洗うためにも使われるからです。
ですから水道設備が未発達な国では、まだまだ感染される方が多く死に至る人もいます。
感染すれば絶対に死ぬのかというとそうではなく、コレラ菌自体はそんなに強くないので胃酸で死滅してしまいます。ですから健康な人の場合は、軽い症状で済む場合も多いといわれています。
主な症状は、大量の水様便や嘔吐です。経口補水液のような水分やナトリウムなどがバランスよく配合されたものを摂取しながら安静にしていると回復していきます。
今回の場合は、このコレラ菌の豚バージョンということです。豚とイノシシだけがかかる型ですので感染した豚と接触しても人間がかかることはありません。
なぜイノシシもかかるかというと、豚は人間が飼うためにイノシシを改良された動物だからです。構造や遺伝子が非常に似ているということですね。
感染した豚肉を食べても大丈夫!!
一番気になるところがコレでしょう!! もしも感染した豚の肉を食べてしまったらどうなるのか? ということです。結論からいうと、感染した豚肉を食べても人間には何の影響もありません。
もともと人間がかかる型ではないですし、豚肉を食べるときは必ず火を通しますよね? ですからコレラ菌も死滅してしまいます。
この知識を持っておくことがとても重要だと思います。知識のない人や誤った知識を持っている人が「感染するかも?」なんていう噂を流し始めると一気に広がってしまうでしょう。
急がれる対策方法は?
国内で発生してしまったので、対策を打たなければ感染が拡大してしまいます。おそらく野生のイノシシが感染し、それが養豚場に近づいたと考えられますので打てる対策は今のところ2つです。
野生のイノシシにワクチン入りのエサを食べさせる
一つ目は野生のイノシシを感染から守る方法です。野生のイノシシが感染を続けると、それがどんどん広まり全国の養豚場も被害に脅かされるからです。
ですから野生のイノシシがこれ以上感染しないようにワクチン入りのエサを撒いて、抗体をつけます。そうすることによって感染拡大を防ぐ方法です。
しかしこの方法には問題があります。「どこまでやればいいの?」という問題です。野生なのでどこにいるかも分からないし、どれだけの数がいるのかも把握できません。
よって、きりがないというのが最大のデメリットでしょう。
養豚場の豚にワクチンを接種
二つ目は野生がダメなら養豚場の豚を守る方法です。養豚場の豚すべてにワクチンを接種しておけば、もしも野生のイノシシが近づいてきても感染することはありません。これだと数が限られていますし、守りたいものだけ守ることができます。
しかしこれにも問題があります。「清浄国の豚」という問題です。「清浄国の豚」とは何かというと、薬やワクチンを使わずに育てた安心できるお肉の豚ということの証明みたいなものです。
だれしも安全でおいしいものを食べたいと思うので「清浄国の豚」という品質を認められていると輸入したいと思うでしょう。
それが今回の豚コレラでワクチンを接種してしまうと「清浄国の豚」ではなくなってしまうということです。
感染を防ぐことができるからいいやん!! と思うかもしれませんが、ブランド価値が下がってしまうのは家畜農家にとってはかなりの痛手なので、ワクチン接種のGOサインがなかなかおりない現実があります。
さらなる脅威!! アフリカ豚コレラ
さらに恐ろしいことに「アフリカ豚コレラ」というものも近づいてきています。お隣の中国では感染が広がっています。豚コレラの一種ですので、人間に感染することはないですがこれは非常に厄介です。
なぜかというとダニを媒介して感染してしまうからです。
豚コレラの場合、感染源と考えられるイノシシの対策をすればなんとか拡大を防ぐことができそうですが、相手が目に見えないほどの小さなダニとなってくると対策はほぼ不可能ではないでしょうか?
これが入ってきてしまうと、日本の養豚業界は大打撃間違いなしなのでなんとしても入ってくることを阻止したいですね。
とはいうものの中国からの観光客も多いですし、何より細菌は目に見えませんので防ごうにもなかなか難しい現実があります。
まとめ
大切なことですのでもう一度確認しましょう。
豚コレラは畜産農家や豚にとっては非常に怖い存在ですが、風評被害は畜産農家にとってもっと怖いです。
ぼくたちは大切な命を頂いて生きています。
畜産農家の方々も今、一生懸命対策をしてくれていますので、ぼくたちも一頭の豚の命も無駄にならないように正しい知識を身につけておきたいですね。
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