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子どもを持つ親なら誰しもが「我が子には優しさや思いやるのある人に育ってほしい」と願うことでしょう。「優しさ」や「思いやり」というのは、経験や環境によって育まれるものです。
親や周りの大人にそのような人がたくさんいれば、心の中に優しさは必ず根づいています。
幼ければ幼いほど、そのような感覚を素直に受け入れることができるため、絵本でも「優しさ」や「思いやり」の詰まった本を読んであげたいですよね。
今回は、そう考えているママさん、パパさんにぴったりな本を紹介しようと思います。
香山美子さん作の「どうぞのいす」です。発行は1981年ですので、今のなお読み続けられているということは、不朽の名作といえるのではないでしょうか。
ある日、うさぎさんが小さなイスを作ります。特に使い方を考えて作ったわけではなく、作ったあとからどこに置くか考えています。
うさぎさんが思いついたのは、「どうぞのいす」と書かれた看板とともに大きな木の下にイスを置くことでした。疲れた誰かに座って休んでもらおうと考えたわけですね。この時点でうさぎさんの思いやりが、たっぷりと描かれています。
うさぎさんが帰ったあと始めにやってきたのは、どんぐりをかごいっぱいに集めたロバさんでした。
ロバさんはイスを見つけると意図が分かり「おや、なんて親切なイスだろう」と言いますが、ロバさんが座るには小さすぎるため、どんぐりのかごをイスに置き、木の下で昼寝を始めます。
そこへやってきたのは、くまさん。イスの上にかごいっぱいのどんぐり。横には「どうぞのいす」と書かれた看板。くまさんは「どうぞなら遠慮なくいただきましょう」と言って、どんぐりをすべて食べてしまいます。
このままでは、くまさんの勘違いで終わってしまいますが、お話は続きます。
くまさんは自分がどんぐりをすべて食べてしまったから、あとの人に気の毒だと思い、持っていたハチミツをイスの上に置いて帰ります。
つぎにやってきたのは、きつねさん。イスの上に置かれたハチミツ、横には「どうぞのいす」の看板。きつねさんも遠慮なく食べてしまいます。そして次の人を気の毒に思ったきつねさんも、もっていたパンを置いて帰ります。
こんなふうにして、動物たちの「思いやり」が続いていきます。
もちろん永遠と続くわけではなく、最後は始めにどんぐりを置いたロバさんが目を覚まします。置いたはずのどんぐりがなんと…!!
大人でもクスッときてしまうようなオチまでつけられています。ほのぼのとしていて、大人が読んでも心が温まる絵本です。最後のシーンは、ぜひご覧になって確かめてみてください。
何度かお伝えしている通り、絵本は子どもに自由に想像させてあげることが非常に大切です。ゆっくり読み聞かせをしてあげながら、子どもが想像できる声かけをしてあげましょう。
例えば、うさぎさんがイスを作ったシーン。
と聞いてみるといいと思います。絵本には、イスを作った理由も書かれていませんし、どうぞのいすの意味も書かれていません。逆に考えると、子どもがそこから自由に発想することができるようになっています。
子どもは、
「お家で使いたかったのかな?」
「どうぞって言って、誰かにイスをあげるのかな?」
などたくさん考えると思います。否定はせずに「そうかもしれないね」と受け止めてあげましょう。
ほかにも途中で出てくる、ハチミツやパンを
「○○ちゃんもどうぞ」
と言って食べさせてあげても喜ぶと思います。子どもは必ず、「ママもどうぞ」と言って食べさせてくれると思います。
この本を読み終えると「どうぞ」という言葉が、家族ではやると思います。本を読めば「どうぞ」という意味が理解できるので、
「どうぞ」って言われると嬉しい気持ちになるね。
と声をかけ、「どうぞ」という言葉はあったかい言葉なんだということを子どもに伝えてあげましょう。
香山美子さんは他にも心温まる作品をたくさん出されていらっしゃいます。どうぞのいすの続編もありますので、お子さんが気に入られたら、ぜひ読んであげてください。
思いやりのあるうさぎさんが今度は、大きなテーブルを作りました。みんなで使えるように丘の上まで、重たいテーブルを運びます。重たいはずのテーブルですが、途中からどんどん軽くなります。
それもそのはず、一生懸命なうさぎさんの姿を見た、どうぞのいすの登場メンバーが後ろから手伝ってくれています。
やっとの思いで運んだテーブルでしたが、イスが足りない…。みんなの喜ぶ顔が見たくてうさぎさんは、さらなる行動を起こすお話です。
うさぎさんの持っていた可愛いバッグをみて、ろばさんも欲しくなり自分で作り始めます。しかし、できたバッグは大きすぎたためにくまさんにあげることに…。
くまさんだけじゃ、ほかの動物がかわいそうとみんなの分のバッグも作ってくれます。
みんなでそのバッグを持ってピクニックに行くことになりますが、あわてんぼうのろばさんは、肝心の自分のバッグを作り忘れてしまっていることに気がつきます。徹夜でバッグを作ったろばさんでしたが、お弁当が間に合わず…。
それを見た動物たちが、自分たちのお弁当を分けてくれる心温まるお話。
心温まる絵本って大人が読んでもほっこりしますよね。ぼくも子どもに読みながら、「自分もこんな本を昔読んでもらったなぁ」という気持ちになりました。
またこの絵本の絵をかかれている柿本幸造さんの絵が、とても温かなタッチで描かれているのが、さらに優しい気持ちにさせてくれます。
たくさんの絵本を読んであげて、子どもに優しい気持ちをもってもらいたいですね。